確実な保証は、チャレンジを遠ざける
サラリーマン時代、ほとんどの人が守りに入っていることに何度もイライラした。
今のままでもとりあえずは大丈夫だけど、
いつかボロが出るやり方だったり、
変えた方がより良くなるはずのものでも、
"現状維持"を選ぶ人が多かった。
『世界史を創ったビジネスモデル』の第Ⅱ部 第1章「海洋国家による地理的フロンティア拡大」を読むと、
この「守りに入る姿勢」は日本人に限ったことではないのがわかる。
少し長いけれど、内容をざっくり。
16世紀は、世界各国が競って海洋に飛び出した「大航海時代」。
当時は、陸の先、海の向こうは「魔物が住む空間」と恐れられていたが、
それでも、エンリケ航海王子はインドへの航路があると信じ、開拓を進めた。
そして、みごとにそのルートを見つけ、それと同時期に文学や建築など、ポルトガル社会全体が躍進した。
しかし、あまりに目覚ましい成功に慢心したのか、
エンリケが見つけたインド航路よりも良いルートを提案してきたコロンブスの意見を退けた。(エンリケは東回り、コロンブスは西回り)
これは最大の失敗で、
結局コロンブスは、ライバル国のスペインの支援を受けて、西回り航路開拓に成功し、
ポルトガルは、それまでの成功に大きく傷をつけた。
といった感じだ(やっぱ長かった)。
つまり、
「東回りという確実な方を選び、西回りという新しくてより良い可能性を放棄した」
ということだ。
この選択は誰が見ても、大失敗だ。
大失敗だけど、これを笑える人はいない。
自分が当事者だったら、果たして正しい判断を出来ただろうか?
まぁ、かなり難しいよね。
俺はムリ。
目の前に、確実な保証があったら、
不確実なもっといいかもしれないモノよりも、
確実な方を選ぶよね。
これ、考えてみたら、まさにサラリーマンに当てはまるな、って思った。
毎月の確実な固定給。
頑張っても頑張らなくても、最低額は保証される。
改善に成功したら、より売上があがるかもしれない。
けど、今のままでもとりあえずやってこれてる。
そしたら、
改善に手をつける必要感じないもんね。
毎月の確実な固定給。
なんとなく退屈で、提案を上層部に否定される不満にも不感症になって、
本当はもっといい会社、やりがいのある仕事があるのでは、
と思うも、
転職に失敗したら、今の確実な固定給を失ってしまうかもしれない。
じゃあ、とりあえずは今のまま行った方がいいや。
そうなるよね。
確実な保証があると、
やっぱいいもんね。
でも、
世の中に本当に「確実」なものなんてないんだよね。
だから、
確実を信じたくなる気持ちはわかるけど、
別の可能性もあるってことは常に忘れずにいたいよね。
そうすれば、
チャレンジすることも当然のものだって思って、
億劫になることも臆病になることも避けられるんじゃないかな。
現状維持を望んだ瞬間から、
衰退ははじまっているからね。