今そこに"ない"危機に備えたアウグストゥス
『世界史を創ったビジネスモデル』読書記録(6日目)
第5章〜第7章を読んで、
古代ローマのすごさ、アウグストゥスの偉大さがじわじわとわかってきた気がする。
もう何千年も前のことなのに、
現代のシステムよりも優れた部分が沢山あったローマ。
どんな出来事も必ず'はじめの一歩"があって、"はじめた誰か"がいるんだよね。
1000年以上の長期に渡って存在出来たローマ。
その基礎を作ったのは、間違いなくアウグストゥス、ということだ。
「領土拡大期」のカエサルの後を継ぎ、
時代の変化を捉え、
「領土拡大型」のビジネスモデルから「平和安定型」へと見事に変化することに成功した。
アウグストゥスが指導者になり行ったもののひとつは「税制改革」。
俺は「税」と聞くだけでも、本当に嫌になる。
おそらく、
当時のローマ市民たちも同じ気持ちだったと思う。
それでも、アウグストゥスは、
税制改革を実行し、市民の支持を受けた。
嫌われていたら後に「神君」なんて言われないからね。「暴君」になるでしょ。
具体的には、
①徴税制度の改善
で、悪用されず確実に税を集め、
②相続税の創設
で、恒久的な収入源を作った、
ということらしい。
この改革の革新性とか是非は、俺にはわからないけれど、
ここで1番言いたいのは、
アウグストゥスの"国家の父"としての人間のでかさだ。
今の日本の政治家は(他の国のことはあんま知らん)、
こういった市民にも負担のかかる改革は、
支持が落ちるからあまりやらないようにする。
そして、むしろ、
投票してくれる層だけが喜ぶような、
短期的で、表面的な政策ばかりを行うようになる。
そうしていつしか、
国が揺らいでしまい、
もはや手遅れになるような危機に陥る。
それで、表立った形ではなくとも、
日本は国として終わってしまう。
今の日本の政治はそんな感じだ。今さえ良ければいい。という政治。
しかし、アウグストゥスは、
「今」よりも「自分の保身」よりも、
「国家=ローマ帝国」の為に、
今目の前にはない、緊迫していない事態に備えて、
この改革を行った。
「これを行うことで、
今生きている人たちは、少し痛みがあるかもしれない。
しかし、あなたたちの子供。そして、その子供の子供たちが、豊かに暮らしていく為には、絶対に必要なんです。
あなたたちは、自分たちさえ良ければいいと考えますか?それとも、子孫たちも幸せになって欲しいと思いますか?」
といった感じだろうか。
人は、事態が緊迫しないと気付けない生き物だ。
実際に事件が起きないと、起こるなんてことは信じがたい。
しかし、それでもアウグストゥスは、
"今ここにはない"が、"いつか必ず来る危機"の為に、
市民から理解を得て、改革を実行した。
これは、すごい!というより、
もはやかっこよすぎる。
戦いで、めちゃめちゃ強くてかっこいい!
とかいう見た目にわかりやすいかっこよさではなく、
そんなものをはるかに越えたかっこよさだ。
これはビジネスモデルの本で、
ビジネスモデルとは「お金を稼ぐ仕組み」の話だとは思うのだけど、
アウグストゥスは、
「お金を稼ぐ仕組み」の先にある「それで、どうみんなで幸せになるかの仕組み」として、ビジネスモデルを捉えていたのだろう。
やはり、歴史に名を残す人はすごい。
俺も、目の前の利益より、
自分の死後をも見据えて生きなければ!!
「おぉん?俺がアウグストゥスだぞ、なめんなよ?」